美味しい魚
同じ海域で釣られた同種の魚でも 脂がのっている魚とそうでない魚がいるのはすでに体験されていることだと思います 美味しい魚は 10匹に1匹 いや20匹に1匹とも言われるように多くはありません 見分け方はまず小顔であること これは肥満の魚で 体高も高く 幅も厚くなる為 必然と小顔になります
次に尾尻や腹回りが黄色やオレンジ色に変色していること 魚体内の脂肪が外に出ている為です 婚姻色の場合もオレンジに変色する場合があります この魚は(スギ)と言う魚で115㎝ありました 小顔ではありませんが 見ての通り下腹周りが黄色く変色しており すべての身が「とろ」でした その下は小顔の尾長グレで 内蔵脂肪いっぱいでした
熟成は 旬以外の魚を美味しく 旬の魚をもっと美味しくさせてくれます


魚のうまみ回復
魚を美味しくするためには 体内物質のATP(生命活動を維持するために必要なエネルギー)をうまみ成分のアミノ酸に変える必要があります
魚筋肉中にいる酵素が 味のないたんぱく質をより小さくして うま味となるアミノ酸へ変化させてくれます
釣りあげたすぐの魚は激しい運動で ATP(アデノシン三リン酸)の量を消費させており それを回復させる必要があります 体内では乳酸を発生させ ATP回復に協力しますが ただすぐに回復するのではなく サバでは6時間以上落ち着かせる必要があるそうです
その為 関アジ・関サバなどのブランド魚は最大限にうまみ成分を引き出す ATP回復のため 釣ってから 生け簀で一晩回復を促すようです
できれば 生け簀のある船では帰港まで活かしておくか その他の釣場ではスカリに活かしておくのがベストでしょう
魚を〆る
魚は〆てから死後硬直までの間にうまみ成分が生成されおいしくなります その為神経を遮断させ 死後硬直を遅らせることが必要になってきます 魚を〆ずに放置するとすぐに魚がカチカチの状態になります それは死後硬直が始まってる証拠です
また冷やし過ぎても冷却硬直が始まります 魚の美味しさは いかにたくさんのアミノ酸を生成させられるかが重要になります
〆方は脳締めが一般的ですが もっと有効な神経締めが有名ですよね 〆てから最大24時間で死後硬直は始まると言われていますが 保存温度状況によりかなり違ってきます 〆る位置は えら前 線の延長線上に アイスピックなどで目の方向に 少し回しながら刺します 刺した状態で目が動くようでしたら脳〆めが完了です 側線の延長線上ではなく 背骨の延長線上に脳があります

釣り場でできる処理
魚をスカリから出し脳締めを行います この時クーラーボックスには海水と氷を入れ 5℃前後になるまで下げておきます
海水氷にする理由は 空気中の熱伝導率と水中の熱伝導率では 水中の方が20倍速いからです
私の場合は釣りスタート時 35Lのクーラーに15Lの海水 それにオキアミ冷凍3㎏または6㎏を クーラー内で解凍 その後ペットボトル氷3㎏で 下がった海水を維持しています
購入したオキアミの袋は穴が開いていることが多い為 海水氷に流入します
穴の開いていないビニール袋に入れなおした方がいいですよ
魚は〆たあと 筋肉に熱が溜まり旨味生成を阻害します それをすぐ冷却して 下げる必要があります でも冷やし過ぎは良くなく体内温度を 30分~45分間冷却するぐらいがよいようです もちろん魚の重量が多いほど冷却時間は増えます また針を呑んだりして すぐに〆なければいけない魚は そのまま処理をして 海水氷クーラーボックスで保管します
冷却後は海水を捨て冷却に使っていたペットボトルで持ち帰るか 氷が溶けていれば新しいペット氷500ml2本1㎏で持ち帰ります この量だとだいたいクーラーボックスの温度は5℃~10℃ぐらい 冷蔵庫野菜室の温度ぐらい で維持されています 私の場合500mlのペットボトル氷を12本6㎏用意しておき 必要な分だけ使用します
サバやカツオなど生け簀に入れられない魚は釣ったすぐ クーラーボックスの中で鯖折りにして〆め そのまま保存します 他の魚も〆て えら切を行ったあとはすぐに冷却するため血抜きはすべてクーラーボックスの中で行います 常温の海水を入れたバケツに入れた血抜きをよく見かけますが すぐに体温を下げないといけないので おすすめできません
釣り場では まず魚を生かして置き 帰港する1時間前に〆め あとは素早くクーラー内で血抜きをします 庫内温度は0℃~5℃ そのまま30分~45分ほど放置し 海水を捨てます
その後 少量の氷にて 庫内温度5℃~10℃で持ち帰ります
これをすれば かなり美味しくなる準備ができるはずです


持ち帰ったあとの処理①
自宅に帰ってまずクーラーボックスの氷を確認します 氷がそこそこあればOK そうでなければ500mlペット氷2本と入れ替えます そして〆た時間から最大24時間放置します
5℃~10℃で放置した間に旨味成分が生成されます 一旦冷やされた魚の温度維持は 少量の氷でOKです ただしクーラーによっては保冷時間は違いますので確認してくださいね

持ち帰ったあとの処理②
24時間後 魚のぬめり処理 内臓・えらの撤去を行います。頭・ひれを取り除いてもOK この時はまだウロコは取りません ぬめりだけを水とブラシでこすり 取り除きます 綺麗になった魚の水分をキッチンペーパーなどでふき取ります その後ラップで包みこみます
ラップで包みこむ理由はビニール袋を弱真空にする際 魚のとげで 穴が空くのを防ぐ為です
この時 内臓撤去部分やウロコ部分にペーパーを巻く必要はありません 尻尾の血抜きをしていなければ えら撤去部分だけペーパーを入れてください 頭を取り除いていればその部分にはペーパーが必要です

それをビニール袋に入れ 弱真空にし そしてクーラーで氷水に3日~4日沈めて寝かせます 魚はできるだけ沈める方が温度維持できます また濡れたタオルをかぶせておいてもよいでしょう
20lクーラーでは 凍った500mlペットボトル6本入れて 毎日入れ替えます
ビニール袋は厚さ0.03㎜以上あった方がいいですよ それ以下だと破れていないのに水が浸透してきます


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クエでは【150L袋 12枚 1200㎜x1300㎜x0.05㎜】を販売しています
キッチンペーパーは 魚に張り付き 破れる為 コー〇ン 布キッチンペーパー厚手を使っています 洗って再利用できますよ。

持ち帰ったあとの処理③
3~4日後 氷温水から魚を出し 捌きます
柵にし 塩を振り 1時間冷蔵庫で保管します
柵より 程よいドリップがでてきますので

それをふき取り 皮付きで真空パックにします 塩はそのままでも問題はありません
真空パックのまま 水の張ったチルド室 または氷水のクーラーボックスで3日~3週間寝かせます
脂肪の多いほど長く 脂肪が少ないほど短く熟成させます

真空パックに保存すると 時間経過とともに どうしてもパック内にドリップがでてきます それを除去する為 今回はパック内にドリップ吸収布をいれてみます

イシガキダイ38㎝ 釣ってから1週間 これから2週間チルド室に水没しておきます
石鯛 グレは3週間寝かせると大変美味しくなりますが 毎回ドリップの匂いが気になります
今回は吸収布で どのくらい変化するかを検証します

12/29 尾長グレ41㎝ 釣ってから2週間の画像です
吸収布に少しドリップが吸収されてます
開封しましたが まったく匂いがありません
炙りにて食しました
もっと旨味が欲しいところです
あと1週間寝かせます

3週間(21日)後の柵です
ドリップがどのようになっているかの検証です
イシガキダイ ドリップが吸水布に少し吸われています


ほとんど臭みがありません
柵も変色してません
食しましたが2週目より旨くなってます
グレ イシガキダイとも炙りで食しましたが 問題ないので あと1週間(30日間)熟成させます


4週間(28日)後の柵です
ドリップは吸水布に吸収され 臭いもほとんどありません


炙りで食しました

4週間熟成させましたが 旨味が3週目より落ちているように感じます
3週目が一番いいように思われます
おそらく腐敗しているのではないかと 不安に思われている方も多いかと思われますが
腐敗の条件は高温多湿(約20℃〜40℃程度)で酸素 水分 が必要 になります
塩で処理し真空パックに保存され 低温で管理された柵は腐敗はしにくいです
美味しさの頂点から劣化が進行するのみになります
但し 食するのは自己責任ですよ

